「出産が怖い」
妊娠が分かって、周りの誰もが祝福ムードな中、アナタが誰にも言えないこと・・・
母親になるのに、みんなが経験しているのに、
そんなこと思ってはいけないとは思いつつ、こわい・・・
でも、大丈夫。実際、こわいですよ!
・・・いや、こわいと思うのは自然ですよ^^
特に初産では出産の痛みは未知のものなので、怖いと思って当然です。
子育てよりも出産が怖い・・・
子育ての不安よりも、出産がまず不安という妊婦さんも多いのではないでしょうか。
私も出産が不安で怖くてたまりませんでした。
出産は個人差が大きく、同じような出産はほとんどありません。
「ひとつの出産ストーリー」と思って、体験談を聞いていただければ幸いです。
・ピアスを開けることも怖かった私
妊娠6週。
病院できちんと胎児の心拍を確認でき、正確に妊娠が判定したものの、
喜びとともにまずは出産への恐怖に襲われました。
と、いうのも、ピアスを病院で開けてもらうことでさえもビビり、
会社で義務付けられているインフルエンザの予防接種でさえ
痛くてたまらないほど痛みに弱かったからです。
そんな私が果たして出産なんてできるのだろうかと、
不安に襲われたことを覚えています。
・一旦はつわりで出産の怖さは忘れられる
妊娠確定と同時につわりが始まりました。
私はニオイづわりが主で、とにかくありとあらゆるニオイに
吐き気をもよおしていました。
それは食品のニオイから、柔軟剤やシャンプーのニオイ、
乾燥機をした洗濯物のニオイ、
そしてかわいそうなことに夫のニオイ…。
とにかく毎日24時間気持ちが悪い状態が数か月続きました。
そのため、一旦はつわりのことばかりで出産の怖さは忘れられました。
・妊娠後期に入ると…
幸いなことに、妊娠中は一度だけお腹の張りが治まらずに
緊急で検診を受けたのみで、いわゆる「マタニティライフ」を
満喫できた方だと思います。
つわりも安定期に入る頃には治まってくれたので、
日々しっかりと感じられる胎動に幸せすら感じていました。
しかし一転して妊娠後期に入った瞬間に、気持ちの変化が現れます。
「出産が怖い」という気持ちがよみがえってくるのです。
・頻度を増す妊婦検診妊娠後期
妊娠後期に入れば、妊婦検診が週に一度になります。
また、内診といって子宮口の開きを確かめるために
膣のかなり奥まで診てもらうのです。
この内診が、まぁ~~~~!!!びっくりするほど痛いのです。
しかし、「これで痛いなんていったら出産はどうなるんだろう」と
余計に心配と不安があふれてきます。
まだ出産の兆候は何もないと感じていた身体。
しかし、初めての内診ですでに子宮口は3センチ開いていることがわかりました。
まだ予定日より2週間も早い時期でした。
・初産なのに、早まる出産?!
初産の場合、出産が予定日より遅れることが多いとよく聞きました。
そのため、私も予定日より1週間ほど遅れるのだろうと
のんきに構えていたところへ大打撃。
出産が早まるとのことでした。
えー!まだベビーベッドも、ミルクもおむつも
何もかも準備が済んでいない!
とにかく入院準備だけ慌ててしたところで破水。
当初の出産予定日から11日早い時期でした。
・破水かなんだかわからない…
私の周りでは破水から出産が始まった人はいませんでした。
そのため、破水とはよく見るドラマのようなものを
想像していましたが、実際はそこまで水は出ませんでした。
驚いたことに、子宮からボンっと音がするとじんわりと
あたたかい何かが出てきたのです。
早朝4時のことでした。
・「今日産んじゃいましょう」
病院に電話をし、入院準備を持って急行。
内診を受けると、子宮口がすでに5センチ開いているために
「あっ、もう今日産めるね。産んじゃおう」と。
そんな玉子を産むみたいに言われても…
と、気持ちの整理がつかないまま、
入院着に着がえて陣痛室へ。
破水で赤ちゃんが感染しないように、
陣痛促進剤を点滴する説明を受けました。
陣痛室の隣の部屋には、何度か妊婦検診で
一緒になったことのあるお母さんが、
同じように点滴をしてぐったりしていました。
・ようやくの覚悟
「産むぞ」
陣痛促進剤の点滴は、通常の点滴よりも太い針を使用します。
まずその点滴が痛くて痛くて…。
あと、助産師さんが私の不安な表情を分かってくれたのでしょう。
「絶対に産めるから。産めなかった人はいないから。
お母さんになろう」と。
予定日よりもはるかに早く、ベビーベッドも
用意していなかった私の気持ちを出産に向かわせてくれた一言でした。
点滴開始は朝8時。お昼12時に陣痛をピークに持っていき、
夕方には出産予定だと伝えられました。
・経験したことのない痛み
点滴は少しずつ量を調整していき、
そのたびに陣痛の痛みは強くなりました。
はじめはひどい生理痛。
それが下半身全体に広がり、冷や汗が出てきます。
しかし、まだまだ会話をする余裕はあります。
12時ちょうど。昼食が運ばれてきたときでした。
もう声を出すことさえできませんでした。
吹き出る汗を拭くこともできず、
点滴の針が痛いなんてとうの昔に忘れてしまいました。
腰のあたりをプレス機で押さえられているような鈍痛。
下半身があるのかわからない痛み。
「いたい」という言葉も出ないほど。
そんななかで、私の下腹部から
「ナニカ」が下に下がっていく感覚はあるのです。
必死に助産師さんに「出る」と伝え、診てもらうと
赤ちゃんの頭が見えていました。
・予想外のスーパー安産
夕方出産を予定していた助産師さんもこれにはびっくり!
「分娩台に移動する」と言われ、周りが急に慌ただしくなりました。
とにかく移動しなければ…と思ったものの、
私の記憶はそこで途切れます。
気が付くと、すでに分娩台のうえにいました。
後日聞くと、自分で分娩室まで歩き、分娩台へ登ったとのこと。
全く覚えていません。
急いで夫も呼び出されますが、
私は夫がいつどこで何をしてくれていたかも記憶にないのです。
・これが俗にいう命がけか…
さあ、いよいよ出産です。
気が付くと、周りは助産師さんが大勢囲んでくれていて、
いきむタイミングをしっかり教えてくれました。
この時点で午後1時。
とにかくめいっぱい力を入れていきみました。
助産師さんが数人お腹を押してくれて、
大声を出して応援してくれました。
「絶対に産む。絶対に無事に産む」
もうそのことしか考えることはできません。
とにかく助産師さんの掛け声にあわせて、
いきむことしかできませんでした。
「下を見て!」との声に急いで頭を上げると、
するんと出てきたわが子。
不思議なことにその瞬間陣痛はうそのようになくなりました。
・生まれたての我が子と一緒に休んだ2時間
胎盤や縫合などの処置のあいだに、
赤ちゃんは体重を測ったり体をふいてもらっていました。
すっかりなくなった陣痛に、夢でないかと思いました。
まさか私が出産できたなんて。
となりに寝かせてくれたわが子は、
はくしょんとかわいいくしゃみをひとつ。
この時はまだ、これから始まる子育ての大変さを
考えることもできませんでしたが、
とにかく「母子ともに無事に」出産できた奇跡に感謝しました。
午後2時。スーパー安産での出産でした。
お産は人それぞれ全く違います。
不安で不安でいっぱいです。
しかし、「人生で一番がんばったことは?」と聞かれると、
私は「出産」と胸を張って言える経験になったのです。
案ずるより産むがやすし
どうあっても、産むしか、ないのです^^